2012年4月22日日曜日

東浩​紀 川上量生対談を振り返る3

続きです。
ニコ生思想地図「『おもしろい​』をセカイに広めるには」東浩​紀×川上量生
http://www.nicovideo.jp/watch/sm15580519

公式まとめはこちら
http://news.nicovideo.jp/watch/nw112807
東浩紀氏:
文化的なものを軽量化するようなフレームワークをまだ人類は持っていない。マーケティング分析はあるんだけれど、質をもっと軽量化出来ると思う。例えば純文学とライトノベルの違いというのは、今のところレーベル・出版社が違うというだけ。内容というと直感的に見て判断しているだけ。
しかし文章レベルですべてデータとして読み込んで形態素解析をかけてどういう形容詞と副詞のバリエーション、1センテンスの長さなどをデータとして比較する事で、実はどちらも漢字と平仮名の比率は同じだったりとかがわかったりするのではないか。批評家はそれを頭の中で感覚的にやっている。

それを受けて川上会長:
コンテンツの中身の分類でなく、流通経路で判断できると思う。広告の出稿にTVのどの時間帯にいくつ出す、新聞に出す、雑誌に出すといったところで、特定のクラスタに対して認知度を100%にしようとしている。その後は作品の質でヒットするかが決まる。良いコンテンツでありながらヒットしないのは認知度が足りない場合。

東浩紀氏:
流通経路の分析もできると思うが、最終的にはコンテンツの中身の分析と組合わさる必要がある。こういった作品はこういった流通経路でヒットしやすいというのは相関関係がある。高校生にライトノベルが受けているのは、たまたま彼らにそれが与えられているだけで、コミュニケーションの性質が、コンテンツの中身の性質を規定しているはず。今までなんとなく分かる という状況だったものが、それがわかった時に文化分析は飛躍するはず。

川上会長:
その分析に参考になるのはソーシャルゲームのマーケティング。あるキャラクターを使ってソーシャルゲームを作るときに、怪盗ロワイヤル型だとか牧場型だとかある程度決まった方に当てはめて設計すると、売上高・ARPUはどれくらい・どのくらいの期間稼げるだとか全部計算できると言ってマーケティングしている。
それと同じ事を昔アーケードゲームでやっていた。一つヒットが生まれたら類似製品でロケテストをやってどのくらい稼ぐかを予想していた。それをやったことでジャンル自体が衰退してしまった。 純文学とライトノベルも飽和してコアユーザーだけが残るという同じ状況。おそらくソーシャルゲームもこの2,3年くらいで飽和してしまう。
しかしソーシャルゲームはそういったマーケティングのデータが豊富にあるので定量的に分析をするのであれば良い対象になるのではないか。

東浩紀氏:
しかし、なぜテキストに僕がこだわるかというと、1次元のデータだから計量化しやすいはず。ベストセラーのひらがなと漢字の比率を調べるだけでも面白いことが分かるはず。なぜやらないんだろう。ゲームのほうが複雑に思えるのだけれど。

川上会長:
それはゲームはバリエーションが少ない。テキストは自由度が高すぎる。囲碁と将棋を比べるとわかりやすいが、将棋は王将とか金で分類ができているが、囲碁はものすごく自由度が高い。

東浩紀氏:
「テーマの面白いを世界に広めるには」の答えを簡単に言うと、ローコンテクストだと広まりやすい、ハイコンテクストだと広まり難いということに落ち着きそう。



お二人の考えの違いが明確に出る話で大変面白く見ました。
そこで思い出したのですが、おそらくこの放送を聞いていただから思いついたけれどすっかり忘れていたアイデアで。いや、もうひとつ小池一夫さんのニコ生の番組の発想もあるかもしれないですが。
何か物語を作るときに、今まで読んだ物語が頭の中で再構成、発展させる事での創作という事をされている事が多いと思いますが、それをシステム的に補助するようなWEBサービスがあると素晴らしいのではないかと思いました。
例えばこんな。
















こんなので、作品のタグ付が大変だと思うのでそれはCGM的にユーザーの手を借りてタグ付をしてもらってガンガン登録してもらう。登録する人々は無料で使えるなり、登録した量に応じて評価されるとか、マネーが還元されるといった仕組みをつけて促進させる。若しくは読書メーターとかブクログとかと提携して、感想と一緒にタグ付けしたデータをもらえる契約をするとか。
タグ登録をしていれば無料で使えるけれど、検索システムだけ使う場合は有料にする。プレミアム会員ユーザは作品の表示だけでなくて作品の概略と、ストーリーの肝部分まで見えたりとか。
しかし川上会長が言うように、こんなものから生まれたものはつまらない作品になるという懸念はありますね。

多分半分は終わりました。まだ続きます。

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